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カジュアルなブルゴーニュ白ワインって?

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ブルゴーニュの代表的に白ワインと言えば何を選ぶでしょうか?ムルソー?モンラッシェ?それとも何でしょう?シャブリ?こちらのような大物達がやっぱり選ばれるのかしら?日常的にブルゴーニュ・ワインはお値段がお高めだと思われていますが、一部は正しくもありまた間違ってもいます。全てのブルゴーニュ・ワインが当てはまるのでしょうか?当然一部の高級ワインは非常に高価ですので間違ってはいませんが、そうでないものも存在しています。ブルゴーニュのワインスタイルには多様性があるのですが、問題はその違いを理解できていないことです。これはワイン業界にいる人達にも言えることで(まあそれだけややこしいということ)、其々のアペラシオンのちがいを理解するのに時間がかかるのです。

この度ドリンクビジネスとブルゴーニュワイン委員会のコラボレーションによる、業界用のマスタークラス”Rendez vous avec les vins de Burgogne”(”ブルゴーニュ・ワインたちとの出会い”とでも訳したら良いかしらね?)に参加してきました。エコール・デ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ(ブルゴーニュ・ワインスクール)のジャン・ピエール・へナール氏がネットを経由して生中継でブラインドテイスティングを含むセミナーを行うというものでした。予備校のサテライト授業と言った感じ。へナール氏がブルゴーニュの白ワインの統計やアペラシオンを最初に簡単に説明し、1つづつ一緒にワインを試飲していきました。

スクリーンショット 2016-06-19 15.33.10                                Credit : BIVB
ワインは全ブルゴーニュから、5つのスティルワインに加えてスパークリング1種が用意され、ヴィンテージは全て同じ2014年でした。以下が試飲したワインリストです。

1) Macon Milly-Lamartine, Chateau des Bois, 2014, Chateau de la Greffiere
2) Macon-Ige, Chateau London, 2014, Domaine Pierre-Yves & Olivier FICHET
3) Bourgogne Vezelay, l’Elegante, 2014, Domaine de la CROIX MONTJOIE
4) Bourgogne Cotes d’Auxerre, Cuvee Louis Bersan, 2014, Domaine JL & JC BERSAN
5) Bourgogne Hautes Cotes de Nuits, Les Dames Huguette, 2014, Domaine Guy & Yvan DUFOULEUR
6) Cremant de Bourgogne, Colette, Caves BAILLY LAPIERRE

今まで村単位以上のアペラシオンのワインを試飲したり、実際に飲んだりしたことがありましたが、正直地域名のアペラシオン辺り若しくは以下のワインをあまり試飲したことがありませんでした。今回はすべてのワインがリージョナル(地域名の)アペラシオンだったのです。地域名レベルのワインであれ、其々のワインには当然異なったスタイルや特徴が見られます。それはテロワールのせいで?地勢?気候それとも技術?では其々を比べてみましょう!

  AOC 位置 標高 地勢と土壌
1 Macon +
Village name
マコンの西 237~507m 南西向き畑
石灰質土壌
2 Macon +
Village name
マコンの北西 225~600m

南西向き畑
粘土質に石灰岩

3 Bourgogne Vezelay オセールの南西 180~305m 粘土と石灰岩
4 Bourgogne Cotes d’Auxerre シャブリの西 180~305m ジュラシック石灰岩
(キメリジャンと
ポーランディアン)
5 Bourgogne Hautes
Cotes de Nuits
ニュイ=サン=ジョルジュの西 350m 石灰質土壌に溶岩層
6 Cremant de Bourgogne オセールの近く
サン=ブリ=ル=ヴィヌー
   

マコン地区は他よりも標高が少し高めでかなり南側に位置しています。加えて畑は南西向き、つまり日当たりが良いということになります。よって、マコンのワイン1と2は肉付きの良いまとまっているものの、ある程度の酸を保持したワインであろうと予想できます。一方、グラン・オセールのワイン3と4は理論上では畑の位置より恐らくシャキッとしたキレのあるワインと予想できそうです。ではオー・コート・ド・ニュイはどうでしょう?私の経験上からはクリュレベルの畑にとっては良い位置ではない所に畑がありますが、〜クリュレベルではブドウは最大限の日射量と一番良い土壌を理由に、オー・コート・ド・ニュイよりも標高の低い所に植えられています〜ワインは通常オーク樽を使用したバランスの良い物が特徴です。さて、其々のワインの醸造とどう感じたかを説明していきます。

1) フレッシュで古典的なスタイル。メロン、白桃などのストーンフルーツ、花の香り。味わいにはミネラル。アペリティフに最適。樹齢50年以上の古木からのシャルドネを約15~20日低温にて温度管理をした発酵を行う。約10ヶ月間澱共に熟成させた後に瓶詰め。オーク樽の使用は一切なのですが、ジューシーでフルーツ感があふれるワイン。

2) フレッシュだけれどしなやかなワイン。干し草、ストーン・フルーツの香りに少々シトラス。溌剌ととした酸とミネラルの味わい。アフターフレーヴァーに少しオークを少し感じます。樹齢19~94年、それぞれ違う9つ区画より収穫されたシャルドネが使われており、除梗した後12~15時間低温浸漬。90%のキュヴェは大きなタンクにて残りの10%はオークの小樽で醸造されており、約17℃を保ったまま発酵と熟成が行われています。ワイン1と比べると酸味がしっかりあるものの、バランスが良いワイン。実際にはワイン1と2両方は似ているものの、ワイン1はよりフルーツ香が広がっており、ワイン2はしなやかな仕上がりで、恐らく理由はオークの有無と土壌の違い。

3) チョークやミネラル、ここちの良い酸味など典型的テロワールを表しているワインです。とは言えシャキッとしすぎたわけでもカチカチに硬いわけでもないのですがね。香りはミネラル、アーモンドやヘーゼルナッツなどのナッツ類にアプリコットがほのかにあります。平均樹齢30年のシャルドネを一度だけプレスして発酵させ、その75%をステンレスタンクで残りの25%をオークの古樽にて瓶詰め前に9ヶ月熟成させています。バランスが良く繊細なワイン。ワインの名前がその特徴を表しているかのようですね。

4) 丸みがあり芳醇なワイン。熟した桃、メロンなどフルーツ香がガツンとあり、加えてヴァニラや蜂蜜を共に香りと味わいの両方に感じます。塩味ときっちりとした酸味も感じられます。100%シャルドネから造られており、オーク樽で熟成されていますが、そのうちの10%は新樽を利用。塩味の味わいは恐らく土壌からの影響ではないかと推測。というのもシャブリと同じ土壌であり、同様に引き締まった酸味はシャブリを思い浮かばせます。

5) 芳醇かつまろやかなワインでドライフルーツ、ヴァニラ、オーク、トースト、ナッツが香り味わいの両方にあります。ワインのスタイルはムルソーのよう。複雑味もありアフターフレーヴァーに苦味を少々感じ、これはミネラルからでしょう。”Dames Huguette”と名の付いた特別な区画からのシャルドネ90%とピノ・ブラン10%が使われており、容量500lある大きめのオーク樽で1ヶ月発酵を行い、その20%が新樽を利用しているとのこと。その後2ヶ月間のオーク樽での熟成。コート・ド・ニュイのものは通常かなりバター香のあるワインですがオーク使いと石灰質土壌により、エレガントに仕上がっています。このワインもそうである様に。

6) シトラス、青りんご、桃、花そしてトーストやブリオッシュといった自己分解(瓶内二次発酵)による香りのある、生き生きした香り高いスパークリングワイン。味わいでは爽やかな酸味にバランスの良さも感じます。ワイン6はシャルドネ50%とピノ・ノワール50%を瓶内二次にて醸造しています。クレマンはシャンパンと同じぶどう品種、同じ造り方をしているものの、通常味わいにおいて泡の強さをあまり感じないものが多いのですが、このクレマンはその点においてはなかなか良いいです。アペリティフに向いています。

全てのワインの蔵出し価格は実際ほぼシャブリと同じで其々のワインには違った特徴とスタイルがあり、そして高すぎない。お買得ワインと言えます。消して著名なワインではないのですが毎日開けられるようなカジュアルなワインです。香港のワイン市場は早く広がり、その経緯は日本と良く似ています。しかしここでの問題はブルゴーニュ産のカジュアルワインの種類に幅がない事です。現在あまりこの手のワインをワインショップで見かけることはなく、多分ブルゴーニュ・ワインが複雑すぎる、オセアニアからのものと比べて高価格、若しくは以前はこのようなワインを入れてもまだ市場が十分に成長してなかったからなど考えられます。幾つかの要因があるでしょうが、消費者にとってより選択肢が広がるのは有り難いことですし、近い将来このようなワインをレストランやワインショップで見かけるのを期待したいところです。