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VINEXPO Hong Kong 2016

vinexpo
ボルドーと香港と毎年交代で行われるVINEXPO。今年は香港での開催なので非常に便利でした。だって、香港からボルドーはやっぱり遠い。丁度伊勢志摩サミットと時期がかぶり、サミットのお話も書きたいところですが、それはまた別の機会に。

3日間行われるVINEXPOですが、ワインの造り手やナゴシアン達が出展者になり、アジア中心にバイヤーが集まります。基本的には商談目的としているためワイン業界関係者以外は入れないことになっていますが、今年は特にその規定が厳しかったように思います。というのも規模が小さくなっていることと、来場者数が以前に比べて少ない。実際数えたわけではないので正しいかはわかりませんが、人にまみれて歩けないとかが起こらないし、どう見ても関係者じゃないでしょ?ってな方々をお見かけしませんでしたね。ただ中国大陸からの人を多く見かけたように思います、北京語が聞こえてくる割合がとても高かったです。大陸のワイン業界が大きくなっているのは間違い無いようです。

今回のVINEXPOでは大物の造り手はあまり見かけませんでしたが、ご招待によるセミナーにミシェル・ロラン氏がいらしていたようです。日本からはものづくり日本のプロジェクトの代表でもある中田英寿氏が初日にいらしていたそうですが、初日はUnion des Grands Crus de Bordeaxの試飲に忙しくそんなところではなかった私。Union des Grands Crus de Bordeaxは1973年に創立し、格付け有無にかかわらず、ワインの品質を追求する思いを共有するジロンド、メドック、グラーヴ、ペサック・レオニャン、ソーテルヌ、バルザック、サンテミリオンそしてポムロールからの134の造り手が所属しています。今年の試飲は全て2013年のヴィンテージのもの。

グラーヴとペサック・レオニャンの白赤から始まり、サンテミリオン、ポムロール、メドック、ソーテルヌとバルザックの2013ヴィンテージを試飲しましたが、一言で申し上げると全体的に残念な結果でした。正直、どうしちゃったのボルドー?てなところです。香りはとても良いのですが、味わいが…。久しぶりにこれが天候不良の年のボルドーなんだというのを体験しました。造り手達と話をしたところ、エリアにもよるけれどとにかく雨が多くて非常に困難な年だったというお返事ばかりでした。唯一ソーテルヌとバルザックが雨が多かったものの収穫前の天候がすこぶる良かったとのこと。赤ワインのエリアで特にメルローが壊滅的だったそう。

2013年の天候はまず出だしも悪く、成長期間が40年ぶり非常に寒く気温が上がらなかったとのこと。すでにこの段階で病気蔓延の可能性も高く、収穫量も下がるであろうと予測されていました。2月3月は非常に寒く、4月は良くも悪くも不安定で発芽が遅れました。期待したい5月は再び寒く雨が多く通常16.5℃まで上がる気温が12℃にしか上がらず相変わらず寒く湿度の多い状況のままでした。日射量が少ないので開花に続いて全ての作業が遅れ、うどん粉病防止のためのボルドー液撒布も通常よりも3週間遅れ。あー、もう聞いているだけで諦めモードに入りそうです。

6月までにある程度の気温、乾燥、日射量が戻ってきたものの、嵐も到来しもう泣き面に蜂状態。開花は6月の2週目に始まりましたが、たくさんの葡萄畑では貧弱な実止まりにミルランダージュ。良い条件でのミルランダージュは良い意味でとられがちですが、今回は天候不良によるものだから全く喜べない。まぁこんなにひどい状況なので7月はグリーンハーヴェストを行い、畑に湿度をこもらせない&光合成の促進をして、葡萄の回復を望んだにも関わらず、こともあろうか7月の終わりに非常に大きな嵐に見舞われる。嵐が去ったと思ったら今度は8月の初めに雹にやられる。もうここまでくると神はなぜここまで試練を与えると思いたくもなる。

ところがその後の8月の中旬まで良い状態が続くのです。3週間ほど日射量に恵まれ約30℃を保持し造り手にとってはそのまま続いてくれと願うばかりであります。8月の終わりには収穫量減少は確実になった、特にメルロー。いつも以上に丁寧な選別が行われることは免れません。通常10月8日辺りから始まる収穫も今年は9月27日にはほとんどが始まっており、収穫を遅らせることにより悪天候で全てがダメになるリスクを避けたようです。いつもならばポムロールがメドックよりも収穫が早いはずが、今年は遅いという珍しい状況でした。

2013年は非常に厳しい年だったというのは否めません。白と赤で違いが出るのでその辺りを検証したいと思います。
*グラーヴ、ペサック・レオニャンの辛口白*
グラーヴの方がどちらかというとハーブ香が強く、酸味が高い。両方共ボディが全体的に弱めで、いつものボルドー白の強さが感じられません。逆に言えば爽やかな仕上がりになっています。造り手曰く、通常以上に果実の選別を行ったとのこと。グラーヴの一部は砂礫土壌ですが、南部は粘土と砂が多いので保水量が多く、ソーヴィニヨン・ブランが熟さなかったのかなと考えます。
*グラーヴ、ペサックレオニャンの赤*
かなりボディが軽かったです。元々ボルドーの中でもボディが軽めなのですが2013年は顕著に。特にここのワインはメルローの特徴が出やすいと元々言われているのですが、その肝心なメルローの出来が悪い。ジューシーな仕上がりになっていました。
*サンテミリオン*
サンテミリオン・グランクリュ・クラッセレベルでもいつもの味わい深さに比べ、物足りなさを感じます。メルロー主体だから仕方がないか…しかも土壌は石灰岩と粘土が多い地域だから土壌の保水量も葡萄の最終結果に影響があるんだろうと推測。
*ポムロール*
試飲した中で一番味わいが強く、いつものボルドーに近かったように思います。2013年はわざと収穫時期を遅らせてリスクを取ったこと、またここは実はカベルネ・フランとソーヴィニヨンが多い地域でもあるのです。カベルネを主に使用するエリアだからそこまで影響がなかったのかも。
*メドック&オーメドック*
正直アペラシオンの違いでなく、造り手によりましたね。オーメドックのLa Laguneはいつもならばメルロー混醸ですが、2013年はメルローの出来が悪かったため100%カベルネ・ソーヴィニヨンで仕上げていますし、マルゴーのBrane-CantenacやMalescot St.exuperyなどは口当たりは柔らかくタンニンも十分にあり骨格がしっかりとしていました。メルローよりも元々カベルネの使用も多いシャトーが多いので、カベルネを基軸としているところはそこまで大きな変化はなかったように思います。
*ソーテルヌ・バルザック*
メルローを主体とする赤ワインが泣きを見ている一方、初期の天候が悪くても収穫前の天候に恵まれたため、ボトリテス菌もしっかり付いた模様。ソーテルヌは最近の傾向かは分かりませんが年々ボディが軽めになっているように思うのは私だけでしょうか?フランスでも食事の内容が全体的に軽さを求めているのもあり、ワインにもその傾向が表れているように思います。香りはしっかりしているものの昔のソーテルヌほどのボディを感じられないのは2013年のヴィンテージのせいかそれともスタイルなのか気になるところです。

2013年は久しぶりに悪天候な年だったため、収穫量も少なく価格も高騰した価格よりも安めなため、高級なレストランでなくてもオンリストできるのが魅力なところです。グレイト・ヴィンテージは素晴らしく当然価格も高めなため、レストランによっては入れられないところもありますが、このようなヴィンテージの場合はオンリストの可能性は上がります。確かにグレイトヴィンテージのように30~40年もたないと思いますが、早いうちにピークを迎えるわけなので時間と価格を少なく抑えられるのが、良年ヴィンテージでない商品の特徴になります。

結果、あの銘醸地ボルドーであれど、ヴィンテージに左右されるということです。グレイトヴィンテージがもてはやされるから、それ以外はみたいな風潮がありますが、ちょっと安く手頃に買えるし、早く飲み頃を迎えると考えたら悪くないかもね。要はものの考え方次第ね。何を重要視するかってことでしょうね。