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2015 Commanderie de Bordeaux à Nagoya

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ワイン関連で活躍ししている友人の一人が先日、名古屋のボルドー・コマンダリーとして任命され,招待客として叙任式そしてその後のガラディナーに参加してきました。コマンダリー・ド・ボルドーはボルドーワインを愛し、その普及に努める団体で、会員になるには既にいる会員からの推薦で選ばれるようです。ボルドー本部から会長達が来日して、新会員への叙任式を行いその後ガラ・ディナー。会長は見覚えのある方で、よくワイン関連の雑誌やウェブに写真付きで出ていたけれど、どこのシャトーだったか堂々巡り。後で分かったののオーナーだった…

叙任式は滞りなく進み、集合写真を撮りカクテルタイム。お祝いの席に欠かせないはじけた泡のある飲み物はシャンパンではなく、クレマン・ド・ボルドーのロゼ。ボルドーワインは赤と白だけではありませんからね!品種はメルロー100%で、ボルドーのクレマンって私は中々飲む機会がなかったので、嬉しい体験でした。

その後別会場に移動して、オペラを鑑賞した後にディナー。お食事は東京ベイコート倶楽部、マルダムールと言うフレンチレストランのシェフが担当で、それに島ソムリエールがそれぞれのお料理にあったワインを選んだそう。私にとって島ソムリエールはとても感慨深い思い入れがあり、私のワイン人生に深く関わった方でもあります。

遥か昔、私が社会人となりソムリエ資格に興味を持ち始めた頃、友人に連れられ彼女のお店に行きました。ワインは興味があり好きになってきたばかりと言えど、何も知識もない。初めてお会いした時に、『ソムリエ試験はどうやって勉強したらいいですか』という質問に、彼女はアドバイスをくれ、私はそのとうりに従い、その後ソムリエの試験を最短、一発で合格できました。彼女にしたらほんの小さなアドバイスだったかもしれませんが、私にとっては非常に大きなもので、私の中では一番最初の師匠と崇めています。そんな尊敬している島ソムリエールが選んだワインが以下のもの。

1, Champagne Brut Grand Cru Prestige Jean Vesselle 2006
2, ルバイヤート 甲州シュール・リー 2014
3, Blanc de Valandraud No2 2009
4, Domaine de Chevalier Blanc 2009
5, Château La Fleur Saint Georges 2010
6,Château Léoville Barton 2009
7,Château Doisy Daëne 2007

そしてお料理の内容がこちら。
1, アミューズ・ブーシュ
2, オマール海老のムースとセルフィーユ球根のジュレ寄せ
3, フォアグラのポワレ チリメンキャベツとトリュフのオーモニエール ソースペリグー
4, のどぐろのポワレ コキヤージュのリゾット ソースジュコキヤージュの軽いクリームソース
5, 黒毛和牛ロース肉のグリエ ソースポワブルアクー 
 ジャガイモのアリゴ仕立てとシャンピニオンのソテー
6, セレクションチーズ
7, 炎のベイクドアラスカ 
8, コーヒー

のどぐろや黒部和牛など日本の食材を使いつつも、オマールやフォアグラといったフランスの伝統的な食材も織り交ぜてあります。3番目の温かい前菜は形は巾着型にしてありますが、フォアグラのチリメンキャベツ包みのペリグーソース。非常にクラシックなお料理でクラシックなワイン産地でもあるボルドーと寄り添っています。ボルドーワインを広く伝えていく目的の会のディナーですから当然ボルドーワインが選ばれておりますが、来年の伊勢志摩サミット、それに続く2020年の夏季東京オリンピックに向けて日本のワインを知ってもらうとういう意向もあり日本産ワインを1つセレクトしたそうです。

お祝いのシャンパンに始まり、日本産のワイン。日本のワインは丸藤葡萄酒工業の甲州で、後から出てくるパンチの効いたボルドー白とは対照的な優しく繊細な味わい。甲州はヴィニフィラ系に所属し、ボディが軽めになるためスキンコンタクトをしたり、Sur Lieをすることによりより深い味わいや香りを引き出す造り方が多いですが、シャキッと爽やかさを出すものから樽をしっかり使ったものまで幅広く造られています。こちらはSur Lieにて味わいを引き出したスタイルででも樽は効かせていないもの。

3番目はガレージワインの第一人者と言われているJean-Luc Thunevin氏が最上級のボルドー白ワインを造ることを目標に、2000年にヴァランドローの畑の一角に植えたのがこのワインの始まりです。2009年までBlanc de Valandraud No1とNo2として2種類出していたものであったが、2010年からNo1はValandraud Blancへ、No2はVirginie de Valandraud Blancへ名称変更をしています。右岸サンテミリオンの白ワインなので、AOCは村名ではなくそれこそ地方名になりますが、セカンドラインと言えどマルゴーの白と同じく素晴らしい造り手が作るものは素晴らしい出来栄えです。

同じボルドー白でも3番目は赤の銘醸地で作られた珍しい白で、逆に4番目はボルドー白といえばグラーヴと答えが返って来る位正統派な産地であるグラーブのワイン。正統派だけあり非常に素晴らしい仕上がりで、冷たい前菜のオマール海老のムースにも温かい前菜のフォアグラのポワレにも、そして魚料理ののどぐろのポワレにも全て合うこと。しっかり樽を効かせてあるのにワインは負けていなし、樽がワインをマスキングしているわけでもない。樽とワインのバランスがキチンと取れているかつ非常にエレガントであること。更にはお料理との組み合わせの幅広さにもあっぱれ。個人的に一番衝撃を受けたかな。

3種類の白の後はいよいよ赤。赤の第一番はこのボルドー・ワイン最高評議会の会長Hubert de Bouard de Laforest氏のワイン。ボルドー大学醸造学部出身でアンジェルスの7代目。お名前から察すると恐らく元貴族かと推測できそうです。ボルドーのシャトーのオーナーは(特に左岸においては)元貴族やブルジョワが多く、経営などに携わることがほとんどですが、彼は自分自身も醸造を行う稀な方。アンジェルスを1996年の格付けでPremiers Grands Crus Classesに、2012年にその中のAに昇格させているので中々の遣り手です。彼の指揮の元ラランド・ポムロールで造られているワインがこの5番目のワインでした。

そしてそれに続いて左岸のワイン。島ソムリエールが選んだものはサン・ジュリアン村のChâteau Léoville Barton。メルローとカベルネ・フランでできた6番目のワインと違い、カベルネ・ソーヴィニヨン主体。それに加えてコマンドリー・ド・ボルドー名古屋の会員の方(役付の方だったと思う)から
Château Mouton Rothschild 1975がサプライズワインとして提供されました。ムートンはジェロボアムで寝かされていたこともあり古酒なのにフルーツ香もしっかり感じられ、瓶の大きさは熟成にも非常に影響を与えるということを身を以て知りましたね。通常、ジェロボアムなんてパーティーじゃない限り開けなし、購入するのも保存も大変。すごいお宝を出してくださったものです。

最後はデザートワイン、ソーテルヌ。陰陽が基本になってお抹茶と練り切りといった甘いものと苦いもの合わせる東洋風とは違い、同じものや似ているものを合わせてバランスを取る洋食のマリアージュは、その素晴らしさを体験すると忘れられないものになります。それが一番判りやすいなと思うのがデザートワインとデザートの組み合わせ。ワインとデザート単体で美味しいのですが、組み合わせると2倍の美味しさいえ、2乗になると私は思うわ。

ボルドーは白、赤、甘口と全てカバーができるエリアあり多様性があること、王侯貴族が好んで飲んでいたということもありクラシックなお料理との相性が非常に良いこと、長期熟成に向くものも多いことなど、ボルドーワインの根強い人気の理由を身を以て感じた楽しいディナーでした。公式のディナーはただ美味しいだけでなくDiplomaticであるべきで、それがよく反映されていたと思います。ボルドーの右岸左岸両方からワインのスタイルも偏らずボルドーの良さが分かるように選ばれていること、日本産のワインも取り入れて日本ワインの可能性もアピールしたこと、また遠くフランスからこの式典とディナーのために参加してる会長の造っているワインも取り入れたことなどホストへの敬意も組んであり、食卓外交を意識してよく考えられていたと思います。

食卓外交はまさに当たり前に国レベルでも行われており、ウィーン会議でのオーブリオンに始まり今の安倍政権にもしっかり根付いていますね。ワインでドラマチックに演出できる食卓外交は色々なメッセージが見えて面白いものです。そのためには念入りな下調べが必要になってはくるのですが、これほど強烈なイメージ戦略はないから今なお続くのでしょう。