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アルゼンチン風ステーキとシラーズ

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アルゼンチンステーキハウスに多い、Gauchoという名のレストラン。香港にもあるし、ロンドン、アムステルダムにもあり、アデレードにも発見。同じ系列店かと思って聞いてみると、「うちの方が古い!』とのコメント。名前をよく見たらGaucho’sとGauchoの違いを後から見つけたのでした。

先ず”Gaucho”の意味ですがスペイン語である民族の事を指します。アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル南部のパンパ(草原地帯)やアンデス山脈東部に17〜19世紀にかけて居住し、主として牧畜に従事していたスペイン人と先住民その他との混血住民の事。所謂南米のカウボーイって事ですね。広東語にも『搞錯(ガウチョ)』という言葉があり、日本語で直訳すると「なんてこったい!」となりますが、「ちっ。まったく!」とか「は〜?ちょっと有り得ないんですけど?」のような感じで使用するので、余り良い状況で使う言葉ではないのです。香港に住んでいる私は広東語のガウチョの意味を連想してしまうのでした。

以前アムステルダムで行ったお店は香港とロンドンにあるお店とは別物で、香港のお店はロンドンで成功した後にできた模様。いつから営業し始めたのかは分かりませんが、アデレードのお店は2人のオーストラリア人の兄弟が1988年に始めたとの事。両方ともアルゼンチンスタイルのステーキハウス。ロンドン、香港のガウチョはアルゼンチン産肉を使用ですが、アデレードは当然オーストラリア産。そりゃそうよね。という事で、こちらのお店はオーストラリア産の肉を使ったアルゼンチンスタイルのレストランなのでした。

今回の注文はこちら
CHULETA
Adelaide Hills – South Australia 500g dry aged grain fed T-Bone steak, aged 40 daysと共に
Yangarra Estate Shiraz 2012, McLaren Vale, South Australia

500gとありますが、Tボーン・ステーキなので骨も含めてですから、400gあるか位のサイズです。大きさについては置いておいてと…こちらのレストランの牛肉はLimestone CoastにあるMayura Stationという養牛所の和牛を使っています。和牛の定義は明治以前から日本で飼育されてきた食肉専用の「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」の4品種と、この4品種間の交雑主のみで元々日本古来の物です。和牛の中でも肉質は黒毛和牛が最高と言われおり、流通している和牛の九割が黒毛和牛で、こちらの養牛所もそう。日本のややこしい食品表示でもある、国産牛と和牛。国産牛はどの種類であれ日本国内で生産されたもので、生まれた産地や品種は問いません。外国種、輸入牛でも『3ヵ月以上国内で肥育された牛』は国産牛として扱われるので、例えばオーストラリアで生まれて、子牛の時に日本に輸入されてこの規定期間以上経ったものや、日本国内にいるホルスタインの雄牛も国産牛として扱われています。

一方和牛の原産地はAustralian Wagyu Beef(オーストラリア原産和牛)、松坂牛、神戸牛など分かる限り表記もされています。これは一種のブランドでもありますから、売る側からしたらしっかり表記したいでしょうし、色々と思惑は有るでしょうけれど、消費者としてはきちんと書かれていた方が有難いは至極当然です。フランス産のシャロレー牛などもブランドの一つですから、しっかり表記されていますね。国産牛は種類でなくて場所に、一方和牛生産地より種類に重点を置いたもの。なので当然国産牛に日本で育った和牛も含まれます。ちょっとややこしい。でもワインに似ていますね。品種を取るか場所をとるか。

和牛は育った場所で味が違うのか?私が思うには場所というより餌ですね。オーストラリア牛は良く臭みがあるとか言われていますが、その理由は餌。フレッシュな牧草で育っているのがほとんどなんですね。そのため肉が青っぽい、草っぽい香りがします。逆に日本では乾燥穀物が多いため、牛肉の香りが違う。オーストラリア牛に関しては、レストランでもスーパーでも牧草育ち(grass fed)や穀物育ち(grain fed)など表記されていますが、勿論書いてないものもあります。それはもう牧草育ちとみなしておいてほぼ間違いないと思います。

牧草育ちの牛肉は私も正直好きではないので、穀物育ちと書かれているものを選んでいます。今回のレストランで注文したものもそう。最近は牧草と穀物の組み合わせで育ったものもでてきているようです。牧草で育った牛なら、その青っぽさとカベルネ・ソーヴィニヨンの青っぽさを合わせるのですが、今回は穀物育ちの熟成肉で、また「南オーストラリアにいるならシラーズ飲んでおこうかな?」という気持ちがありシラーズを合わせました。

シラーズは日射量と暖かさを必要とする品種ですが、それが強すぎるのも弱すぎるのもダメです。暑すぎる気候だとフローラル香が失われるし、寒すぎると良くないヴィンテージのローヌワインにありがちな根菜類を感じます。バロッサのシラーズがダークチョコレートならば、マクレーンヴェイルはミルクチョコレートの香りで、丸くふくよかさが特徴。スモーキーで芳香高いローヌに比べてオーストラリアのものはクリーミーかつチョコレート。オーストラリアシラーズの人気があるのも分かりますね。特に南オーストラリアのシラーズに於いては失敗にあたるものが少ない気がします。

Yangarra Estateは1946年に南オーストラリアのMclaren Valeで設立されたワイナリーで、特に地中海沿岸で主に作られている品種を得意としています。現在はバイオダイナミックでワインを造っており、このシラーズは夜に収穫をして、発酵前に2回ブドウの仕分けを行っています。低温で5~6日浸して野生酵母による発酵によりワインを造り、12~14日間酵母と澱と置かれた後、フランス産のオーク樽に約18ヶ月寝かされます。新樽の比率は25%。清澄は行わずフィルターをかけて瓶詰め。

こちらのシラーズは鉄分、黒系果実に黒胡椒とスパイシー、ミルクチョコレートよりダークチョコレートを感じました。正直バロッサのスタイルに近いです。レモンとしっかり塩と胡椒に利いたステーキと合わせてそれはそれで良い相性でしたが、peppercorn sauceも良い相性ではなかったかなとも思っています。ボリューム感、タンニン、酸味とバランス良く土っぽさのあるワイルドでもある疲れないワインでしたね。

Gaucho’s Argentinian Restaurant
91 Gouger Street, Adelaide
South Australia 5000,
Australia
08-8231-2299