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香港式火鍋とワイン

hot pot dinner
香港で火鍋〜所謂中華風お鍋は一年中食べられます。暑い夏に鍋なんてという意見がありそうですが、ここ香港はレストランでの冷房の効き具合が半端なく、ガンガン冷房の効いた中での鍋なので差し当たり問題なし。火鍋の専門店すらあるのですから、暑い夏にも来てもらうには必須条件でしょう。日本のように暑いから冷たいそうめん〜と言った発想は一切なしです。環境に自分を合わせる日本と自分に環境を合わせさせる香港。対局です。

この火鍋、スープが選べるのですがお店によって用意している種類は違います。コリアンダーとピータンのスープや白湯といわれるチキンのスープは王道で、一種類だけでなく太極の陰陽に見立てた鴛鴦(インニョン)鍋を選べば、スープの種類は2種類選べます。2種類選ぶ時は一つは王道スープで、もう一つは唐辛子のたくさん入った麻辣や唐辛子やカレーを基にした沙嗲(サテー)などスパイシーで味の濃いものを選ぶ傾向にあります。折角二種類選ぶのに似たようなものよりか、全然違うものの方が味わえるものね。そんな火鍋は私も含めディプロマ仲間も大好き。今回は火鍋に夫々ワインを持ち込んでの夕食会。

1, Fattoria Casa di Terra Bolgheri Vermentino, Toscany, Italy 2014
2, Scagliola Busiord Monferrato Dolcetto, Piemonte, Italy 2012
3, Chateau Talbot Caillou Blanc, Bordeaux, France, 2012

1, ボルゲリと聞くとカベルネの入ったスーパータスカンを思い浮かべるけれど、白ももちろんある。トスカーナ州の白ワインとなると、唯一のDOCGであるVernaccia di San Gimignanoをはじめ、カジュアルなワインやVin Santoを造るTrebbianoが幅を利かせているのですが、忘れちゃならないのがVermentinoで、トスカーナを初めリグーリア、サルディーニャ、コルシカ島などティレニア海岸沿いを中心に栽培されています。ボルゲリの場所はトスカーナの海岸沿いにあり、ヴェルメンティーノはBolgheri Biancoの主要品種で、時にSauvignon BlancやViognierが混ざったりします。ヴェルメンティーノは突然変異しやすい品種でもあり、現在40種程イタリアで見つかっており、レモン、ハーヴ、ナッツなどの香り、溌剌とした酸味がワインにでます。サルディーニャとトスカーナがこの品種の優良産地とみなされています。

Casa di Terraのワインはヴェルメンティーノ85%とソーヴィニヨン・ブラン15%の混合で、ステンレスタンクにて発酵(16℃)させた後そのまま熟成させて、3ヶ月の瓶熟成を経て出荷。ワインはレモン、柑橘、ミネラルをしっかりと感じ、塩味もある。塩味は海岸沿岸部で育ったぶどうから造られたワインに見られる特徴です。辛口でミディアムボディなこのワインは冷やしすぎず、14℃位で飲むのが香りも味わいも感じられて良いです。

2, Barolo, Barbarescoの造り手にとってDolcettoはキャッシュフローを生むための重要品種でもあります。BarberaもNebbioloが熟成している間、ドルチェットはその時に既に市場に出すことができるのです。栽培においてもバルベラやネッビオーロに向かない涼しい場所にドルチェットが植えられており、そんな涼しい場所であってもバルベラよりも数週間前、ネッビオーロよりも4週間前に熟す早熟ブドウとして認識されています。ドルチェットは名前から『少し甘い』と言う意味ですが、ブドウの糖分は高いものの出来上がったワインは辛口で酸味は低め、柔らかくフルーティーで、赤系果実よりも黒系果実のプルーンやビターチェリー、リコリスやアーモンドが特徴です。バルベラと違い滅多に他の品種とブレンドされることがなく基本単一醸造で、酸もタンニンもそれほど強くないので長期熟成には不向きです。だから市場にも早く出る。

ここのドルチェットは10%オーク樽と90%ステンレスタンクで熟成たのものを合わせており、熟した黒系果実の香りがしっかりと出ています。ミディアムボディでバランスも良く、牛肉との組み合わせが良かった。Busiordはピエモンテ地方の方言で『嘘つき」という意味。ラベルにピノキオが描かれていますが、ご存知嘘をつくと鼻が伸びるピノキオは『嘘つき』のシンボルとしてまたドルチェットもちょっと甘いという名の実際は辛口という『嘘つき』。二つの『嘘つき』をかけた、なかなか洒落たネーミングをつけています。

3, ボルドーの格付けシャトーの造る白ワインはどんどん値段も品質も上がっています。幾ら有名な格付けシャトーが造っている白といえど、フランスのワイン法でアペラシオンは地方名であり村名ではないものの、価格は全然可愛くなく赤ほどではないものの、物によってはとてもお高いです。ボルドーの白はSauvignon BlancとSemillonのブレンドが殆どですが、パヴィヨン・ブランのように100%ソーヴィニヨンで造られる物もあります。タルボの白はというと…ソーヴィニヨンがメインでセミヨンはほんの少しだけのブレンド。それぞれのブドウ品種の割合などテクニカルシートを探したけれど一切出てこない。いやー、白と同じく赤も情報公開を一切しない。Caillou Blancは『白い小石」という意味で、おそらく畑がそうなのでしょう。勿論ウェブサイトにその説明も一切なし。すごい徹底ぶりです。

ワインは濃いめの黄色で熟した梅、杏などの核果実と洋梨、麝香などに美しくオークの香りが馴染んでいます。ミディアムボディでバランスも良くオークの影響があるお陰で、牛肉やラムなどの赤身肉とも相性が良かったです。白ワインと赤身肉の組み合わせは樽香を利かせていない白ワインは難しい所がありますが、ボディがそこそこあり、ボリューム感もあり樽香に敗けてない物であれば赤よりいい仕事をしてくれたりします。

最後は出前一丁の麺をスープに投入して香港式火鍋をお腹がはちきれるまでワインと共に満喫したのでした。火鍋は好みの具材とスープを選べるので、ワインとあれこれ試しながら食べられるのが良い。ワインじゃなくてビールも最高に美味しいことはお約束しますよ。

新東記火鍋
Son Tung Kee Restaurant
5/F, Podum Plaza, 5 Hanoi Road,
Tsim Sha Tsui, Kowloon
Hong Kong
2301-2222