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ビールも様々

Beer
香港は酒税がない上、しかもビールが非常に安く酒飲みにとっては天国でもあります。クラフトビールの専門店も出てきて、たいそう賑わっております。今年の香港は比較的涼しくて例年に比べて気温が低めだったのですが、先日130年ぶりに一番高温を記録し、やはり香港は亜熱帯気候で湿度が高いという現実を突きつけられるわけです。そんな気候での中、やっぱり爽やかな飲み物が飲みたくなるわけです。当にビールは有り難い存在です。

ビールはワインと同じく非常に歴史が古く、紀元前4000年メソポタミア文明シュメール人により作られていたという資料が象形文字にて残されています。ビール誕生はもっと古く紀元前4000~8000年という諸説もあります。とにかく古いということですね。紀元前3000年の古代エジプトの資料からもビールが造られていた痕跡が残されています。当時のビールの製法はまず麦を乾燥して粉にしたものを水で練って焼き(いわゆる一種のパンですね)、このパンを砕いて水を加えふやかして、麦芽の酵素で糖化を進行させてアルコール発酵させたもので、パンから派生した食物に近い日常飲料だったようです。

北ヨーロッパでは、紀元前1800年頃には古代ゲルマン人によってすでにビールが造られていた事が記録されており、麦芽の酵素によって大麦のデンプンを糖化させその糖液をアルコール発酵させるというビール製造の技術は北方のケルト人やゲルマン人にも伝わりました。しかしながら彼らの間では大麦麦芽をいったんパンにしてからビールを醸造するという形ではなく、麦芽の粉末をそのまま湯に浸して糖化しアルコール発酵させる醸造法が取られました。現在のビールの醸造法の核になっていますね。

現在のビールは簡単に説明すると麦芽とホップと水を原料として発酵させたもので、最初にビールが生まれた当時はホップの使用はなかったのですが、中世ヨーロッパでホップの使用により苦味香りのの品質が上がり、また殺菌作用もあることが発見されたためそれ以降ホップの使用が一般的になりました。何でもそうですが、最初に発見する人というのは偉大ですね。

ビールは世界中にそれこそ様々なスタイルが存在するため、細かく分類することが非常に難しいです。酵母の種類、熱処理の有無、原料、色、醸造法など分類の仕方もたくさんあり、これがワインと大きく違います。日本においては酒税法が大きく関わっており、麦芽の割合とアルコール度数によりビールと発泡酒とが分かれます。味わいや製法ではないのですね。醸造法の違いで分類すると、1)上面発酵ビール、2)下面発酵ビール、3)自然発酵ビールの大きく3つに分けられます。

1) 上面発酵ビール
比較的高温(20~25℃)で短期間発酵させたビールで、発酵中に酵母が泡と一緒に浮き上がることからこのように呼ばれています。熟成期間中も下面発酵に比べて短く、華やかな果実の香りと深いコクを持つ個性的な味が特徴です。発酵温度の20℃程度で飲むのが最適だが、冷やしても美味しい。エール、スタウト、ポーター、ヴァイツェンなどがこのタイプ。紀元前6000~7000年前メソポタミアで発祥し、この上面発酵のほうが一般的には醸造が容易だと言われており、下面発酵法で造るビールが広く普及するまではビール=上面発酵で造ったものとの認識でした。

2) 下面発酵ビール
上面発酵ビールが常温短時間での発酵に対して、下面発酵ビールは低温(6~10℃)で長時間発酵させています。長時間の発酵により酵母が下に沈殿していていくため、このように呼ばれています。0℃で1ヶ月熟成させ、ゆるやかに発酵が進んでいくビールで、炭酸ガスが溶け込みまろやかなスッキリとした飲み心地が特徴です。冷やして飲むと美味しく、 ラガー、ピルスナー、黒ビールなどがこのタイプ。15世紀のドイツで発祥し元々地元だけで造られていたものですが、現在日本を含む世界のビール9割がこの製法で造られているものです。

3) 自然発酵ビール
20℃くらいの高温で、故意に酵母を接種することなく、空気中に存在する野生酵母(壁や天井付着の野生酵母)を利用して自然発酵 を促し長期熟成させたビール。発酵の際、液体の表面で活発に発酵するため、上面発酵の一部として分類されることがあり、日本を含め多種存在しています。色々な酵母、乳酸菌が入ることにより、独特な香味が形成されるのが特徴。10~15℃程度に冷やして飲むと美味しく、ベルギーのランビックが代表選手です。現在では酵母を利用して発酵させる方法は当たり前となっていますが、酵母が発見される以前は自然発酵によって作られていました。

今回飲んだビール
1 : Singha
2 : Hitachino Nest White Ale 

1は東南アジアで生活していたらよく見るタイのビール。東南アジアの蒸し暑い気候を意識してか、こっくりというよりも爽やかというのが非常に当てはまります。グビグビいけるタイプですね。(ある意味わきまえないといけないのですが…)タイ料理にはやっぱりシンハーでしょ?って思うくらい王道なビール。シンハーはスパイシーで苦味をしっかり感じるものの、後味はさっぱりしていて正直疲れない。かと言ってシャビシャビってわけでもない。タイ料理で使われるライムやポメローの柑橘系の味わいとスパイシーさとよく合うんだね、これが。キリンやアサヒを飲み慣れていると、味も香りも薄く感じるでしょうが、ここ香港もタイと同じく非常に蒸し暑いのでより美味しく感じるのかもしれません。人の感覚というのは気候にも作用されるので亜熱帯気候の地域では鉄板ビールかな。

2は常陸野ネストホワイトエールという日本のビール。いやはや大手のビール以外を口にするのは初めて。海外にいたら特に地ビールは手にはいらないんですよね。だからこれを見て正直驚きました。沖縄料理レストランに置いてあるオリオンビールを除いて、香港での日本のビールは大手のものしか見たことがなかったのです。アサヒ、サッポロは日本食レストランでは強く、私の好きなエビスも時に見かけはしますが置いてあるところがやっぱり少ない。このビールは茨城県にある老舗の造り酒屋木内酒造の合資会社、額田醸造所で造られており、どうも2008年からビール生産を始めたようです。大手の渋いラベルとは違い、可愛らしいふくろうがラベルに描かれています。ワインと同じようにジャケ買いする人もいるんじゃないかな?肝心のお味はハーブ、オレンジの香りを感じる白ビール。スパイシーだし、タイ料理と良さそう。ここのレストランのビールを選んだ担当者、なかなかやるな~。ベルギー産のヒューガルテンも大好きだけれど、これも悪くない。ドラフトで飲めたらもっと嬉しいところだけれど、そこまでぜひ頑張ってほしいわ。

ビールで喉を潤した後、早速のタイ料理。面白いのがパッタイだとかヤウンセンと言った通常のタイ料理のお品書きとちと違い、こちらのレストランはタイ東北部のイーサーン地方の料理が食べられるのです。よりスパイシーなものが多く、美味しい小洒落たお料理だったわ。店の雰囲気は全然そうは見えないけれど、気付いたら満席。人気店です。ビールも料理も気に入ったから又訪れたい場所の一つ。

Chachawan
G/F, 206 Hollywood Road, Sheung Wan
Hong Kong
2549-0020