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Mojitoって?

mojito
ワインを飲むようになってうん十年ですが、大学生の頃はワインはわからなくてカクテルを飲んでいた私。若いから居酒屋が多くて、モスコミュールだのスクリュー・ドライバーだのを飲んでいたなぁ。今じゃかわいいカクテルはあまり飲まなくなり、ワインを選ばなければほとんどビール。ちょっと遠い目で過去を見つめちゃったわ。

香港はバーもたくさんあって、それこそクラッシックなカクテルからモダンなものまで色々と頼めます。ワイン好きな友人と香港での再会だから、いつもならワインをとなるのですが、ドクターから数日間アルコールの摂取禁止と食事制限を言い渡されていたので、仕方がなく私はノンアルコールカクテルのヴァージン・モヒート。ひー、似合わない。見た目は爽やかよ。普通のモヒートとの違いはラムがないだけだもの。

限られたキューバの情報源を頼りにモヒートの歴史を辿ると”El Draque” や”Draquecito (The Dragon)”と呼ばれていた古い飲み物から生じたものだそうです。この飲み物はcachça(サトウキビ汁を基にした蒸留酒)とミントから作られており、1600年代に海軍軍人達に飲まれていました。どうもフランシス・ドレーク船長の部下が考えたという説が有力なようです。スペイン人達はこのミントの飲み物をフランシス・ドレーク卿に因んで”The Dragon”と名付けました。ここ香港ではドラゴン=龍=皇帝のシンボルになり、イメージはいいのですが、西欧でのドラゴンは悪魔の化身としてみなされており非常に悪いイメージです。確かにアジアの龍は蛇が進化したように描かれていますが、西欧では恐竜に羽がついたような感じ。同じドラゴンと言えど、全然イメージが違いますね。

なぜそんな渾名が付いたかと言うと、このフランシス・ドレーク卿は航海者であり海軍総督という表向きの職業の他に、スペイン領の都市を強奪したり、ガリオン船を襲ったりといわゆる海賊行為もしていたお方。苦しめられたスペイン人からしてみたら許せない人なのですね。大航海時代のイギリスは、特にどれだけ女王に対して戦利品を献上できたかにより爵位が決まったそうです(どこまで本当かは分からないので悪しからず)。じゃ、爵位を持っている方々の先祖は海賊だったんかいな?とふと疑問が浮かびますが、そこは流しておきましょう。

ドレーク卿の本業は1600年代の当時限られた数少ない 世界を旅した航海者であり、植物の見本を集めたり、最初の地図を書いたりもしています。奴隷貿易にも加担しており、アフリカ人の奴隷をカリブに輸送して、さとうきび栽培で人力が必要だったスペイン人にその奴隷たちを売るという阿漕な商売もしていたわけです。ここでラム(カシャーサ)を蓄えたのではと言われています。 所謂三角貿易ですね。ドレーク卿が彼の船にミントを乗せていたかは定かではありませんが、1633年 以降の英国の薬草紙にはドレーク卿の旅や発見の様子のメモにあった『ガーデンミントは肉に入れられたり、暖かくして飲まれたり、また胃を強くして消化を促す』が記されています。

当時のカシャーサとミントを合わせたものに対し、現在のモヒートはラムとライム果汁になっています。ライムの果汁は英国海軍によって壊血病を防ぐための目的として広められましたが、1795年まで正式には使われていなかったようです。ライムは熱帯地域を原産とする果実ですから、メキシコや南米ではたくさん取れるのもあり使われるようになったのかなとも推測します。

19世紀後半にドン・ファクンド・バカルディによって生み出されたホワイト・ラム、『バカルディ・ラム』がキューバ国内で流行し、ドレーク卿のレシピに使用されていたカシャーサがバカルディに変わりMojitoという人気カクテルとなりました。その後バカルディ社はキューバ革命後の国有化政策による没収を恐れて、本社をバミューダ諸島のハミルトンに移籍して以来、キューバ国内で飲まれているモヒートはハバナ・クラブが使用されています。バカルディのサイトによるとMojitoの名前の由来は”Mojo”という「軽い魔法をかける」という意味のアフリカの言葉というものと、「濡れる」という意味のスペイン語”Mojar”からの2つの説が存在しているようです。

酒豪アーネスト・ヘミングウェイも愛したモヒート。ディプロマでのスピリッツの教材にレシピが載っているので比べてみます。(Originalとあるのですが何の資料かは記載されていませんでした)

  UK version Original
グラスの種類  コリンズグラス コリンズグラス
材料 

熟成したラム      50ml
ライム(刻んだもの)          1個
ミントの葉          12枚
黒砂糖    ティースプーン2杯

以下好みで
ソーダ水                         少量

熟成したラム        50ml
ライムの果汁         25ml
ミントの葉                8枚
ガムシロップ          15ml
又は
白砂糖        バースプーン1杯
以下好みで
ソーダ水                    少量 
作り方  全ての材料をグラスに入れてかき混ぜ、
クラッシュドアイスで覆い混ぜる
全ての材料をグラスで 混ぜて、
クラッシュドアイスで覆いしっかり混ぜる
飾り  ミントの小枝  ミントの小枝
その他  キューバではミントとライムは少なめで
ソーダ水の量は多めに作られる
 

あんまり変わりませんね(笑)熟成したラムを使っているのは知らなかった…ラムも色々とスタイルがあり、色によって分けるのであればホワイト、ゴールド、ダークと3種類に大別され、産地によるスタイルの違いは以下の4つに分けられます。

1)凝縮感がありピリッとしたジャマイカスタイル
2)コクがあり甘みを感じるガイアナからのデメラララム
3)バルバドスからのより繊細なスタイルなもの
4)軽目の香りで透明なキューバスタイルのホワイト・ラム

フランス領のマルティニークやグアドループで造られているラム・アグリコールやブラジルのカシャーサは通常ラムを作る製法である砂糖を取った後に出る副産物の糖蜜からの蒸留ではなく、新鮮なサトウキビ汁を元に蒸留するので、ラムとは別扱いです。透明な熟成をしていないものはラムに比べてもっと青っぽいフレッシュな香りがでます。私個人としてはこちらも美味しいし好きですね。因みにCaipirinhaはカシャーサとライムと砂糖を合わせて作ったカクテルです。

モヒートに元々使われていたバカルディのホワイト・ラムは糖蜜から造られており、蒸留した後に炭で濾過してオーク樽で熟成させていますが、熟成によりついた色素を再び濾過することにより、色を取り除いています。この透明なラムが初期のキューバ、その後世界流通している軽いラム、つまりホワイト・ラムのの基本になっています。よく考えたらすごいことですね。

私が頼んだヴァージン・モヒートはビターズを数滴入れていました。レシピは少しずつバーによって違うのでしょうね。もちろんどのラムを入れるかも変わってくると思いますが、ハバナ・クラブも見たことがある気もしますが、香港ではバカルディが多いように感じます。バカルディはラムの販売量世界一ですしね。

今回はヴァージン・モヒートでしたが、やっぱりラム入りの方がいいな。お味も美味しかったし爽やかでリフレッシュしたには変わりはないけれど…

French American Bistro
G/F 30 Hollywood Road, Central
Hong Kong
2810-1600

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