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地勢と気候でワインに違いはでるの?

RAMEY Vinyards
アメリカ産ワインの中で一番生産量が多く巾を効かせているカリフォルニアワイン。カリフォルニアワインはアメリカの全生産量の90%を担っており、2014年度の統計によるとアメリカ国内における販売量は2億2490 万ケースで、輸出総収益は15億ドルでアメリカ総輸出収益の90%にあたり、4920万ケースを125カ国に輸出しています。いやー、量も額も大きい、まさにbig and great なカリフォルニアワイン。

ワイン産地は南北に約960 km東西約217kmに広がっています。気候は地中海性気候で沿岸部は沖合の海の影響で霧が発生しますが、内陸部はその影響がありません。大きく5つの地区に分けられますが、山脈の影響もあり同じ地中海性気候な割には適したブドウ品種がそれぞれあり、微妙な天候の違いがワインに反映されます。土壌に関してはあまりにも入り組んでいるため、ほとんどのブドウ畑は幾つかの違った土壌が交じり合い、カリフォルニアでは土壌以上に気候と地勢がワインに影響します。この辺りは旧世界の土壌ありきの概念と少し違いますね。

BBR主催Ramey Wine Cellars の試飲会に参加しました。今回のリストはこちら。

RussianRiver Valley Chardonnay, Sonoma County 2011
Platt Vineyard Chardonnay, Sonoma Coast 2011
Hudson Vineyard Chardonnay, Napa-Carneros 2011
Hyde Vineyards Chardonnay, Napa-Carneros 2010
Syrah, Sonoma Coast 2011
Claret, Napa Valley 2012
Cabernet Sauvignon, Napa Valley 20010

Ramey Wine CellersはDavid Rameyと妻Carlaによって1996年ソノマ郡に設立。デイヴィス校卒業の彼はペトリュスでの醸造経験から始まり、Matanzas Creek, Chalk Hill, Dominus Estate の立ち上げに携わってた後に自身のワイナリーを始めたという経歴を持っています。またソノマ郡は地形的にも天候的にも多様性のある場所で、多くの高品質ワインを産出しており、Ramey自体新しいワイナリーではありますが、その一つと言えます。

全て試飲して、断然赤よりもシャルドネが素晴らしい。古典的なブルゴーニュで行われている技術と共に除梗なしの圧搾の後、野生酵母を使って3年間天日乾燥させたフランス産とハンガリー産のオークの小樽で発酵。マロラクティック発酵は自然に起こさせています。オーク小樽にてシュルリーを経てバトナージュを行いフィルターは掛けずに、軽く濾過して瓶詰め。

  Russian River Valley
Sonoma County 
 Platt Vineyard  
Sonoma Coast
 Hudson Vineyard  
Napa-Carneros 
  Hyde Vineyard   
Napa-Carneros 
 収穫年   2011  2011  2011  2010
中気候  涼しく時に霧が発生
寒暖の差が大きい
 最も寒冷で雨が多い  涼しい  涼しい
海風の影響あり
地勢  緩やかな丘陵 険しい岩が多い   緩やかに起伏  緩やかに起伏
土壌  Goldridge loam Goldridge loam lighter
Hair clay loam
heavy
Hair clay loam
混合 標高800m、南向き傾斜
単一畑
起伏ある傾斜
単一畑
緩やかで起伏ある
傾斜単一畑
収穫日
Brix
9/3~10/3
平均23.3
10/15
23.1
9/21
24.8
9/27,29,30
平均24.1
熟成 15ヶ月
23%オーク新樽
(フランス産と
ハンガリー産)
21ヶ月
14%オーク新樽
(フランス産)

タンクにて清澄とsettling
21ヶ月
45%オーク新樽
(フランス産)

タンクにて清澄と
settling
21ヶ月
50%オーク新樽
(フランス産)

2011年はとても涼しかったのに比べて、2010年は涼しいものの寒くはなくとても良い年でした。表からはそれぞれアペレーションもワインの造り方にも違いがありますが、共通して言えることはどの地区も涼しい事。上の地図を見ていただくと分かりますが、太平洋に最も近い産地がソノマ・コーストのPlatt Vineyardで、その次がRussian River Valley。Hudson VineyardとHyde Vineyardは同じナパ側ロス・カーネロスにありますが、Hudson Vineyardは一番内陸で東にあるHyde Vineyardから約4.5km西側に位置しています。

ソノマ・コーストはソノマ郡の中で最も冷涼な地区で、太平洋からの影響で雨が多い。その東側あるロシアンリヴァー・ヴァレーは、太平洋からの冷たい風と霧が川沿いに入り込んでくる同じく冷涼な地区。ロス・カーネロスはロシアンリヴァー・ヴァレーよりも南西に位置するにもかかわらず、サンパブロ湾からの冷涼な風と霧で涼しい。しかし、同じ涼しいエリアでも収穫日とBrix度を比べると、明らかに完熟するタイミングが違う。

Hyde Vineyardはヴィンテージが違うので除いて、他の3つを比べると内陸に(東に)行くほど糖度が高いし収穫日も早まっている。収穫日とBrix度を比べると、明らかに完熟するタイミングが違う。太平洋側から内陸に行くほど暖かくブドウが熟しやすく、海に近い場所はその影響で涼しいという事になります。

一番内陸のHyde Vineyardは天候も良かったんだしもっと早くに完熟できたはずと推測できますが、ここでちょっと巧妙なのがサンパブロ湾からの海風の影響。ロス・カーネロスは太平洋から内陸にあるものの、南にサンパブロ湾があるので海の影響を受けます。Hudoson Vineyardと少ししか離れていませんが、風向きなどからの海風の影響をHyde Vineyardの方がより受けていると推測されます。

ではこの違いはワインの味わいに反映するのか?答え:します。していました。4つともフルボディのシャルドネですが、特にPlatt VineyardとHudson Vineyardは同じ収穫年、単一畑で造り方も似ているにもかかわらず、全然違う出来になっています。Platt Vineyardは花や石果類の香り、ミネラルが豊富でアロマティックかつシャープ。対してHudson Vineyardは熟した石果類、バターやアーモンドなどリッチでボリューム感がある。明らかな違いがワインに現れていました。

新樽の使用率が違うからそうじゃん?と言われればそれもありますが、ワインに力強さが十分備わっていないものに新樽の使用率を上げたら、ただのオークでマスキングされたワインになりエレガンスの欠片もなくなります。無闇に新樽使用率を上げれば良い訳ではありません。そこの見極めが造り手には非常に大切なところ。気候と地勢の違いに焦点を当てましたが、それ以外の土壌や醸造技術も最終的にできるワインに対して当然影響があります。だから最後まで手を抜けない。

Russian River Valleyは一番カジュアルなラインとはいえ、リンゴや梨の香りとバニラやシナモンなど甘いスパイスを感じるフレッシュかつ肉厚。Hyde Vineyardは他の3つを合わせて造ったような、複雑な味わいでまだ若い印象さえありました。もう少しおいた方がもっと美味しくなりそうです。それにしてもRameyのシャルドネはどれも素晴らしかった。

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