KaorixWines.com

協同組合のワインはアリ?ナシ?

French Wine Trade Show
香港はアルコールの輸入業者に特別な免許はいらないし、アルコールにかかる税金が無料(アルコール度数30度以下のもの)な好条件故か、中国に直接働きかけるよりまず香港にワンクッションおいて、中国市場を目指す造り手が多いです。または既に日本経由で中国での販売を行っており、次は香港というパターンもある。 今回参加したSopexa主催のフランスワイン試飲会は、香港での販売を目的とする造り手達ばかりが集まったものだったこともあり、とても興味深い内容でした。

今年はボルドーでVINEXPOがあったばかり故か、フランスのあらゆる産地の造り手が参加していましたがこじんまりした試飲会だったと思います。VINEXPOは規模も大きい故世界中から業界関係者が集まってくるので、香港に特化しての頒布活動はどうしても無理がありますが、逆に小さい故に『香港でまず』と考えている造り手には良い機会でしょうし、ましてや新規開拓を試みている輸入業者、小売業者、レストラン関係者にとっても利点がある。お互い、直球でビジネスに繋がりやすいのではないかな。

以前はボルドーの造り手でブースが占められていたのが、今回一番出展の多かった地域はローヌ。しかも南部ローヌ。恐らくInter-Rhoneの後押しもあるのでしょう。政府若しくはその地方の大きな団体が関わると追い風になりますからね。数年前の香港市場におけるイタリアワインが良い例です。

南部ローヌの中の出展ブースの1つに協同組合のワインが出てました。協同組合は日本だと差し詰め『農協』に当たる団体で、一般的に品質はまあまあ、あまり特徴が際立ったものがないという認識が多いかと思います。協同組合でできた高級ワインって聞いたことがないですしね。でもだ。協同組合のワイン≠品質が落ちるにはならないのだけれど、そう認識している若しくはそんなイメージが普通にまかり通っていたりします。確かにがぶ飲みワインスタイルのものもある。質より量を求め、1980年以前はほとんどの協同組合のワインはそうだったんだと思います。

ブドウ栽培はしているけれど、他の農作物も一緒に栽培していていたり、ブドウ生産量が少ないため、ワインだけで生計が立てられられないし、ましてや醸造の設備を持っていないブドウ栽培家が1世紀前には今以上にたくさんいました。だからこそ、協同組合を作って、醸造や販売を一緒にしていたのが旧世界では普通だったんですね。それこそ小さな村単位で協同組合が存在するのでかなりの数です。2015年の資料によるとフランス全土で619の協同組合がワインだけであり、因みにドイツは179、スペインは1000、ポルトガルは300。

実際これだけの数の協同組合があれば、当然ワインの品質にばらつきがあるわけです。フランスではシャブリのLa Chablisienne、エルミタージュのTain l’Hermitage、ルーションのMont TauchなどはAOCのワインも単一畑のものも造っています。ラングドック・ルーションなどは元々質より量を追求していた場所ですが、フライング・ワインメーカーとの提携により高品質で価格帯を抑えたものを提供しています。この辺りは品質の良いものを提供しています。

品質の他に協同組合はその地域の特徴が加味されています。例えばお隣イタリアの2つの協同組合を見てみましょう。トレンティーノ・アルト・アディジェのCavitは、4500軒からのブドウ栽培農家がそれぞれ加盟している11のワイン生産者協同組合が1つになったもの、つまりワイン生産者組合連合にあたります。ブドウ栽培者のほとんどが小さい畑を所有しているため、個人で全てを賄うのが非常に難しくなります。このような状況の場合、協同組合連合が醸造を指揮していく事になりますが、組合員全員の死活問題にも繋がるため、当然ワインの品質に比重を置くことになります。Cavitが栽培者や生産者達に対して援助や助言をして、質を一定に保つことにより国際市場で大きく出ることができた一例です。

またエミリア・ロマーニャの協同組合Cantina riuniteは1970年代後半から1980年代前半に毎年アメリカに甘口ランブルスコを3万ケースの輸出をしており、協同組合が最初に勝負に出て後から個人の造り手達が後を追うという事例です。アメリカ市場に対して特別にランブルスコの白やピンク、低アルコール度数または故意にアルコールを取り除いたものなどを輸出したのが成功の理由の一つでもあります。Cavitが質で勝負なら、Riuniteはマーケティングで勝負したということになります。

様々な形態を協同組合は取っていますが、質の良いワインがきちんと存在するので、協同組合産のワインの買いについての答えはアリです。が、問題は全ての協同組合にこの事が当てはまらないこと。どこの協同組合が造っているのかを見極めることが大切ですね。結局協同組合であれ個人の造り手であれ、見極めるポイントは一緒ということですね。個人で国際マーケットに出て行こうと思うと資金的に負担が大きくなりますが、協同組合はその点では勝負に出やすいですね。これから国際市場を意識した良品質の協同組合産のワインが出てくるのではと予想しています。消費者としては美味しいものにめぐり合える確率が上がるのは嬉しいことには変わらない。