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ネッド・グッドウィンMWによるPiper-Heidsieckの試飲会

Piper-Heidsieck

約10年ほど前に両親を連れてパリから日帰りシャンパーニュツアーに参加した時、組み込まれていたメゾンの1つがパイパー・エドシックでした。説明を受けながらカートに乗って見学をしたのを覚えています。その後どこかの航空会社機内で飲んだのですが、がっかりした覚えがありこのメゾンのシャンパーニュのイメージは正直良くありませんでした。

今回はそのパイパー・エドシックをネッド・グッドウィンMWが説明をしながらの試飲会。パイパーのブランド・アンバサダーも務めているネッド・グッドウィンMWは去年拠点を日本から自身が生まれ育ったオーストラリアに移していますが、その移った経緯などについて書かれた内容Why Japan has lost its MWがワイン業界関係者の間では賛否両論で紙面を賑わせていました。記事を読んだ当時私は彼の言い分も納得できるし、日本文化の特殊な部分も理解できのもありましたが、自国を貶されるは気分がいいものではありません。そんなこともあり彼のイメージは正直よくありませんでしたが、今回の試飲会のこともありこの記事の内容だけで彼を判断するのもと思い、彼に関する他の記事などを読んで試飲会に挑んだのでした。

パイパー・エドシックは北ドイツ出身のフローレンス・ルイ・エドシックが1785 年ランスにエドシックという名で創業したのが始まりです。『王妃に相応しいキュヴェを造る』を目標に、実際王妃マリー・アントワネットに献上され、その他世界の14の王室にも納入した経歴を持っています。創業者フローレンスの死後、甥のクリスチャン・エドシックが後を継ぎ、アンリ・ピペ(パイパー)と一緒にワイン造りに勤しんだものの、クリスチャンが夭逝したため、メゾンは未亡人であるクリスチャンの妻と後の再婚相手であるアンリによって”パイパー・エドシック”として再出発することになったのです。因みにシャルル・エドシックとエドシック・モノポールは親戚にあたります。

マリリン・モンローが”目覚めの1杯”として愛飲していた逸話以外にも、1993 年からカンヌ映画祭の公式シャンパン、今年から3年間アカデミー賞の公式シャンパンに選ばれています。ジャン・ポール・ゴルティエがデザインしたボトルや、クリスチャン・ルブタンと提携で限定シャンパングラスを出したり、ファッション性には事欠かないパイパーです。華やかですねー。私としては外側は別に…(重要なのは中身‼︎)と思いますが、マーケティングの観点からは重要でしょう。発想が粋というか洒落てますね。

今回の試飲は以下の5種類。
Champagne Piper-Heidsieck Brut NV
Champagne Piper-Heidsieck Vintage Brut 2006
Champagne Piper-Heidsieck Rare Millesime 2002
Champagne Piper-Heidsieck Rose Sauvage
Champagne Piper-Heidsieck Cuvee Sublime Demi-Sec NV

ネッドによると、通常NVからヴィンテージもの、しかも若い物から古い物への試飲が日常的だが、今回は口の中で感じるタンニンやボディの重さを考慮してこの順番にしたとのこと。教科書的NVシャンパンの割合はピノ・ノワール55~60%、シャルドネ10~15%、ピノ・ムニエ10~15%で、リザーヴワインの割合は10~15%と言われています。ブドウそれぞれに役割があり、ピノ・ノワールは芳醇さや骨格を、シャルドネは優雅さを、ピノ・ムニエは果実味を与えるのですが、それこそメゾンのスタイルによって割合は変わってきます。以下は今回それぞれ品種の割合とリザーヴ・ワインの含有量。(ドゥミ・セックのリザーヴ・ワインの割合は聞き忘れた…)

    Brut NV   Vintage   
2006
   Rare     
2002  

Rose Sauvage NV

Demi-Sec NV
Pinot Noir  50~55% 49% 30% 55~60%  55~60%
Chardonnay 15~20% 51% 70%  10~15%  10~15%
Pinot Meunier 20~25%      20~30%  25~30%
 Reserve Wines 16%      20%  ?

メゾンのスタイルが反映されるNVは基本に近い形ですが、ムニエの割合が少し高めで、実際味わいも繊細で柔らかいです。それに比べて、ヴィンテージ、レアはムニエは使用せず、シャルドネの割合が高い。ムニエは熟成に向かないので、ほとんどのメゾンがヴィンテージやプレステージレベルになる程ムニエの率が低くなる若しくは無し。特にパイパーの場合はふくよかさよりも繊細さ優美さを意識して造っているのもあり、シャルドネの割合が高いのだと思います。こちらの2つは両方ともクリーミーな泡を感じ、ブリオッシュやビスケットをより感じます。 レアにはクレーム・ブリュレのような甘いクリーミーなこっくりした香りもあり、上品でエレガントに仕上がっています。

ロゼは”野生的”と名前がつけられているように、スパイスやタンニンが感じられ、ドゥミ・セックは甘味を感じるものの、高い酸味とのバランスが良く、最後の二つは特にお料理との相性が良いタイプで、日常使いしやすいものでした。ロゼはチャーシューやBBQ、鹿や鴨といった赤身肉に、ドゥミ・セックは甘味を感じる分和食や中華料理、ベトナムやタイといったアジアのお料理やクリーミーなチーズとの相性をネッドが提案しており元ソムリエだけあって、料理との合わせ方は納得がいくものでしたね。

パイパーの場合は全体的に繊細でデリケートなスタイルで、クリュッグやボランジェとは非常に対照的。あー、だからね。当時???となった理由がわかりました。機内という味覚のずれる場所で飲んだのも繊細なパイパーの味わいを感じきれなかったのでしょう。

ネッド・グッドウィンMWはワインは楽しみを運んでくれるものであり、プロの仕事としてその楽しさををもっとたくさんの人たちに知ってもらう重要性を常に掲げています。試飲会でもスタッフへ細かく支持を出していましたし、とても情熱的な人柄故に、誤解もされやすいのかもしれません。(熱い人だと思う。)少なくともパイパーと彼に対する私のイメージは上がりましたね。時間がなかったのでお話できませんでしたが、次回はもっと突っ込んだお話してみたいな。

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